醜女の意味と読み方は?『古事記』の黄泉の国から現代の使い方まで徹底解説【2026年版】
「醜女」は、容貌の美しくない女性を指す古い日本語です。読み方は「しゅうじょ」「しこめ」「ぶおんな」など複数あり、辞書ではそれぞれの意味に加え、日本神話に登場する存在を指す用法も確認できます。特に『古事記』の「予母都志許売(よもつしこめ)」は、黄泉の国から逃げる伊邪那岐命(いざなぎのみこと)を追う存在として描かれています。
ただし、「醜女」を単に「顔立ちの悪い女性」と解釈するだけでは、言葉の歴史的な背景を十分に理解できません。古代の「しこ」という語には「強く恐ろしい」といった意味もあり、神話における用法と、後世に定着した容貌を評価する用法には違いがあります。2026年現在、文章や会話で使う場合には、侮辱的な響きにも注意が必要です。意味・読み方・語源・歴史・類語を順に整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 意味と読み方:「醜女」は主に「しゅうじょ」「しこめ」「ぶおんな」と読み、容貌の美しくない女性を指す古い表現です。
- 語源と神話:『古事記』の「予母都志許売」は黄泉の国の追っ手として登場し、「しこ」の意味は単純な容姿の評価だけでは説明できません。
- 現代での注意点:実在する人に使うと侮辱や容姿への中傷になり得ます。人物を説明する際は、必要性に応じて中立的な表現に言い換えるのが適切です。
【意味と読み方】「醜女」は「しゅうじょ」「しこめ」「ぶおんな」
「醜女」は、漢字の見た目から一つの読み方を想像しやすいものの、国語辞典には複数の読みが掲載されています。小学館の『デジタル大辞泉』や『精選版 日本国語大辞典』では、読み方によって説明の重点が異なります。
一般的な意味は、容貌の美しくない女性を指すことです。一方、「しこめ」には、日本神話に登場する黄泉の国の存在という固有の意味もあります。
- しゅうじょ:容貌の美しくない女性を指す漢語的な読み方。古典にも用例があります。
- しこめ:容貌の美しくない女性を指すほか、黄泉の国にいるとされる恐ろしい存在を意味します。
- ぶおんな:容貌の美しくない女性を指す読み方。現代の日常会話では古風な表現です。
このほか、辞書や古い表記を調べると「しゅにょ」などの読みも見られます。ただし、読み方が複数あるからといって、すべてが現代の日常会話で同じ程度に使われているわけではありません。
読み方を判断する際は、前後の文脈を確認するのが基本です。日本神話や古典文学の説明であれば「しこめ」、漢語的な表現として用いられている文章であれば「しゅうじょ」と読む可能性があります。現代の文章では、初出時に読み仮名を添えると誤読を防げます。
また、「醜女」の「醜」は、単に顔立ちだけを意味する漢字ではありません。「醜態」「醜聞」のように、行為の見苦しさや恥ずべき事柄を表す語にも使われます。ただし、これらの熟語と「醜女」では意味の対象が異なります。

【語源と由来】「しこめ」の「しこ」は、単なる「醜い」ではない
「醜女」の語源を考えるうえで重要なのが、「しこめ」を構成する「しこ」という古い語です。『精選版 日本国語大辞典』では、「しこ」について、もともと「強く恐ろしい」という意味があったことを説明しています。一方、後世には醜悪なものや、ののしる対象を表す用法も広がりました。
つまり、「しこめ」の意味を、現代の漢字表記である「醜女」だけから逆算するのは適切ではありません。古い言葉の意味が変化し、後世の漢字表記と結び付いていった経緯を考える必要があります。
神話に登場する「予母都志許売(よもつしこめ)」も、この点を理解する手掛かりになります。國學院大學の古典文化学事業が公開する神名データベースでは、「しこめ」は黄泉の国に住む鬼の類と考えられる一方、後世の鬼と同じ存在として単純に扱うことには注意が必要だと解説されています。
さらに、「しこ」の語源には異説もあります。國學院大學の解説では、アイヌ語に由来を求める説などにも触れていますが、語源が一つに確定しているわけではありません。古代の言葉の意味を検討する際には、後世の漢字表記だけでなく、古典の用例や同時代の語法を合わせて読むことが重要です。
「醜女」の語源と由来を理解するためのポイントは、次の二つです。
- 古い語としての「しこ」:「強く恐ろしい」という意味合いがあり、後世には醜悪さを表す用法も生まれました。
- 漢字表記としての「醜女」:後世の読者には容貌の評価を連想させますが、神話の名称を理解するときは、その表記だけに意味を限定できません。
語源をたどると、現在の言葉の感覚と古代の用法との間には、意味のずれがあることが分かります。
【古事記の醜女】黄泉の国に登場する「予母都志許売」とは?
「醜女」の意味を調べる際に欠かせないのが、『古事記』上巻の黄泉の国の物語です。『古事記』は和銅5年(712年)に成立した古典で、国文学研究資料館の古典文学史資料でも、古代の歴史や神話を伝える重要な作品として紹介されています。
物語では、伊邪那岐命と伊邪那美命(いざなみのみこと)が登場します。伊邪那美命は火の神を生んだ際に命を落とし、伊邪那岐命は亡くなった妻を追って黄泉の国へ向かいます。しかし、そこで伊邪那美命の姿を見た伊邪那岐命は、恐れて逃げ出します。
自分の姿を見られたことを恥じた伊邪那美命は、逃げる伊邪那岐命を追わせるため、「予母都志許売」を遣わします。これが、一般に「黄泉醜女(よもつしこめ)」と呼ばれる存在です。
國學院大學の古典文化学事業による解説では、伊邪那岐命が黒御縵(くろみかずら)を投げると蒲子が生え、続いて櫛を投げると筍が生え、追っ手がそれらを食べている隙に逃げたという筋書きが紹介されています。その後、八雷神と千五百の黄泉軍も追跡に加わりますが、伊邪那岐命は黄泉比良坂で桃の実を投げ、追っ手を退けます。
この物語での「予母都志許売」は、現代的な意味での容姿の評価を中心とする人物描写というよりも、黄泉の国から逃げる者を追跡する恐ろしい存在として物語の中で役割を果たしています。
ここで注意したいのは、原文の「予母都志許売」という表記です。『古事記』では、この六文字は音を用いる表記である旨が記されています。つまり、文字の意味をそのまま組み合わせて読むのではなく、音を表す表記として理解する必要があります。
一方、『日本書紀』には「泉津醜女」という表記が見られます。國學院大學の解説によると、「予母都志許売」の「ヨモツ」は「黄泉の」を意味し、「シコメ」は黄泉の国に住む鬼の類と考えられています。ただし、後世に定着した鬼のイメージをそのまま古代へ当てはめることはできません。
したがって、「黄泉の国の醜女」という表現を理解するときは、神話の登場存在としての意味と、後世に容貌の美しくない女性を指すようになった意味を区別することが大切です。

【歴史的背景】辞書と古典からたどる「醜女」の意味の変化
「醜女」は、古代の神話から中世・近世の文学、さらに近代の文学作品に至るまで、異なる文脈で使われてきました。辞書の用例を見ると、神話に登場する存在を指す用法と、女性の容貌を評価する用法が、長い時間をかけて併存してきたことが分かります。
小学館の『精選版 日本国語大辞典』では、「しこめ」の古い用例として『古事記』の記述を挙げる一方、容貌の美しくない女性を意味する用法についても、近世の読本などの例を示しています。また、「しゅうじょ」の項目には、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて成立した辞書『色葉字類抄』の記載が挙げられています。
以下は、辞書の用例や古典の成立時期をもとに整理した歴史的な流れです。
| 時期・資料 | 確認できる用法・背景 | 読み解く際のポイント |
|---|---|---|
| 712年・『古事記』 | 「予母都志許売」が黄泉の国の追っ手として登場 | 神話上の存在としての意味が中心 |
| 720年・『日本書紀』 | 関連する記述に「泉津醜女」の表記が見られる | 「醜」の漢字表記と古い語の意味を区別する |
| 1177~1181年ごろ・『色葉字類抄』 | 辞書に「しゅうじょ」の読みが記録される | 容貌を表す語としての歴史を確認できる |
| 1773年・『本朝水滸伝』 | 『精選版 日本国語大辞典』が「しこめ」の用例を掲載 | 神話とは別に、女性の容貌を指す用法が見られる |
| 1914年・高村光太郎「新緑の毒素」 | 辞書に「ぶおんな」の用例が掲載される | 近代文学にも古風な表現が残っている |
| 2026年現在 | 辞書的な意味は理解できる一方、人に向けた使用は侮辱になり得る | 歴史的な用法と、現代の対人表現を分けて考える |
この流れから分かるのは、「醜女」という言葉が、特定の時代だけに使われた単語ではないということです。古代の神話に由来する用法がある一方、後世の文学では容貌を表す語としても使われています。
ただし、辞書に古い用例があることと、現代の日常会話で自然に使えることは別問題です。古典の中で意味を理解するために知っておく価値がある語であっても、現在の人間関係で同じように使うべきとは限りません。
【現代の使い方】「醜女」と「ブス」は何が違う?
現代の日本語で「醜女」を使うときには、辞書的な意味だけでなく、言葉が相手に与える印象も考える必要があります。容貌の美しくない女性を指すという点では「ブス」と意味が重なる部分がありますが、語感や使用される場面には違いがあります。
- 醜女(しゅうじょ・しこめ):古風で硬い印象があり、古典文学や神話の解説、歴史的な文章などで見かける表現です。
- ブス:口語的な表現で、現代の日常会話やネット上でも見られます。人に直接向けると、強い侮辱として受け取られやすい語です。
- 不美人:容貌について評価する意味は残りますが、「醜女」や「ブス」とは語調が異なります。必ずしも中立的な表現ではありません。
両者の違いは、単に「古い言葉か、新しい言葉か」という点だけではありません。「醜女」には古典的な文脈や神話上の用法がありますが、実在の人を容姿によって評価する意味で使えば、相手を傷つける可能性があります。「ブス」も同様に、冗談のつもりであっても、相手との関係性や場面によっては侮辱になります。
また、「醜女」を女性一般に対する評価語として使うと、容姿を一方的な基準で判断する表現になります。特に、本人の意思に関係なく外見を話題にする場面では、言葉の選び方が相手への敬意を欠く結果になりかねません。
一方、古典文学の解説や日本神話の研究で「醜女」という語を扱うこと自体は、必ずしも誰かへの侮辱を意味しません。用語の歴史を説明するために引用する場合と、現代の人に対して評価語として使う場合では、目的も受け取られ方も異なります。
大切なのは、言葉を使用する目的を見極めることです。意味の説明や作品の分析に必要な場合は文脈を明確にし、特定の人の容姿を評価する必要がない場合は、その語を使わない選択が適切です。

【類語・言い換え】「醜女」は差別表現になる?使う場面の判断基準
「醜女」の類語として辞書には「醜婦」「不美人」「ぶおんな」「ぶす」などが挙げられています。しかし、類語であることは、すべての言葉を自由に置き換えてよいという意味ではありません。それぞれ語感が異なり、相手の容姿を否定的に評価するという点では共通する場合があります。
また、「悪女」は文脈によって性格や行動が好ましくない女性を指すこともあるため、容貌を指す「醜女」と完全に同じ意味ではありません。辞書上で関連語として挙げられていても、文章の意図に合わせて使い分ける必要があります。
相手の容姿について言及する必要がある場合には、何を伝えたいのかを先に整理すると、より適切な表現を選びやすくなります。
- 人物を中立的に説明したい場合:「容姿については言及しない」「外見に関する描写」など、評価を含まない表現を選びます。
- 作品の描写を説明したい場合:「作中では容姿を醜いと描写されている人物」のように、作品内の表現であることを明確にします。
- 神話の登場存在を説明したい場合:「黄泉の国の追っ手」「予母都志許売」のように、役割や固有名を中心に説明します。
- 容姿ではなく人物の行動を批評したい場合:「相手を侮辱する発言」「配慮を欠いた行動」など、実際の行為に即した表現を使います。
「醜女」は、文脈によっては差別的・侮辱的な表現として機能します。特に、本人に向けて容姿を否定する目的で使えば、単なる古語の使用では済みません。愛知県が公開する誹謗中傷に関する啓発資料でも、容姿や人格を否定する言葉は、攻撃的な表現の例として扱われています。
ただし、言葉が含まれるだけで、あらゆる使用が同じ意味の差別や誹謗中傷になるわけではありません。歴史的な資料の引用、辞書的な意味の説明、神話の登場存在の解説などでは、語を使う目的と文脈を考慮する必要があります。
判断の目安は、次の三点です。
- その言葉を使わなければ、説明の目的を達成できないのか。
- 特定の人を貶めたり、容姿を理由に価値を低く見せたりする使い方になっていないか。
- 作品や古典の説明であれば、引用や歴史的な用法であることが読者に伝わるか。
この基準で考えれば、歴史的な言葉として知識を深めることと、現代の対人関係で相手を傷つけない表現を選ぶことを両立できます。
【醜女】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「醜女」の正しい読み方は何ですか?
A1:「しゅうじょ」「しこめ」「ぶおんな」などの読み方があります。一般的な意味は容貌の美しくない女性ですが、「しこめ」には黄泉の国にいるとされる存在という神話上の意味もあります。文章の文脈に合わせて読み分けるのが基本です。
Q2:「醜女」は『古事記』に登場する言葉ですか?
A2:はい。『古事記』上巻の黄泉の国の物語に「予母都志許売(よもつしこめ)」が登場します。伊邪那美命が、黄泉の国から逃げる伊邪那岐命を追わせるために遣わした存在です。
Q3:「醜女」と「ブス」は同じ意味ですか?
A3:どちらも容貌の美しくない女性を指す場合がありますが、語感や使用場面が異なります。「醜女」は古風で、古典や神話の文脈でも使われます。「ブス」は口語的な表現です。どちらも実在の人に向けると侮辱になる可能性があります。
Q4:「醜女」の語源は確定していますか?
A4:一つの語源に完全に確定しているわけではありません。「しこ」には古く「強く恐ろしい」という意味があり、後世には醜悪さを表す用法も見られます。神話上の用法を理解する際には、漢字表記だけでなく古い語の意味も考慮する必要があります。
Q5:「醜女」の代わりに使える言葉はありますか?
A5:文脈によって異なります。容貌の評価が必要な場合には「不美人」などが類語として挙げられますが、これも評価を含む言葉です。中立的な説明を目指すなら、容姿への言及自体を避けるか、作品の描写や神話上の役割を具体的に説明する方法が適しています。
まとめ:醜女の意味を理解し、現代では文脈に応じて使い分ける
「醜女」は「しゅうじょ」「しこめ」「ぶおんな」などと読み、主に容貌の美しくない女性を指す古い表現です。一方、『古事記』に登場する「予母都志許売」は、黄泉の国から逃げる伊邪那岐命を追う存在であり、現代の容姿に対する評価語と同じ意味だけで理解することはできません。
語源をたどると、「しこ」には古く「強く恐ろしい」という意味があり、後世の漢字表記や意味の変化を踏まえる必要があります。辞書や古典の用例を確認すれば、神話における用法と、後世に女性の容貌を指すようになった用法を区別できます。
現代の文章や会話で使う場合は、歴史的な用語として説明するのか、実在の人の容姿を評価するのかを意識することが重要です。「醜女」と「ブス」は語感こそ異なりますが、相手に向ければ侮辱となり得ます。人物の容姿を評価する必要がなければ、役割や行動を具体的に説明するなど、中立的な言い換えを選ぶのが適切です。
古い言葉の意味を正確に知ることは、単なる語彙の習得にとどまりません。神話や古典をより深く理解するとともに、時代によって変化する言葉の意味や、現代における使い方を考える手掛かりにもなります。 (出典: 醜女(Yahoo!ニュース))