地震のマークは何を示す?2026年最新のJIS標識と津波マークの違いを徹底解説
地震のマークは、避難標識やハザードマップ、気象庁の地震情報など、さまざまな場面で目にします。しかし、地震そのものを表す記号と、津波の危険区域や避難場所を示すピクトグラムは、同じ意味ではありません。見た目が似ていても、標識が伝える情報によって取るべき行動は変わります。
2026年は、災害標識を理解するうえで見逃せない動きがありました。経済産業省は2026年3月23日、災害種別避難誘導標識システムのJIS Z 9098を改正。地震や火山噴火に関する図記号が追加されました。一方、地震の危険区域を示す注意図記号は、同規格では定められていません。つまり、「地震のマークはない」という説明も、どの規格・用途を指すかによって正確さが変わるのです。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 地震マークの意味:一般的な案内用図記号と、災害別の避難誘導標識は区別して理解する必要がある。
- 2026年の最新動向:3月23日のJIS Z 9098改正で、地震の災害種別補助図記号が追加された。
- 避難時の判断基準:津波注意標識、避難場所、避難所のマークは役割が異なる。マークだけでなく、災害種別と表示内容を確認する。
【結論】地震のマークは存在する?2026年の最新規格で分かったこと
「地震のマーク」を調べる際、最初に押さえたいのは、地震を表す図記号と、地震災害に備えるための避難標識システムは別物だという点です。
公共施設などで使われる案内用図記号は、JIS Z 8210で規定されています。これに対して、災害の種類に応じて避難場所の適否や方向、距離などを伝える標識システムは、JIS Z 9098が扱います。どちらも図記号を使いますが、目的と表示方法が異なります。
日本規格協会が公開する規格情報によると、JIS Z 9098は2016年3月22日に制定され、2026年3月23日に改正されました。2026年版では、地震と火山噴火について、避難場所がその災害に適しているかを示すための「災害種別補助図記号」が追加されています。
ただし、これは地震が起こりそうな場所を警告するためのマークが、どこにでも単独で設置されるという意味ではありません。避難場所の安全性を災害種別ごとに伝える仕組みの中で使われる記号です。
この違いを理解すると、「地震のマークはあるのか、ないのか」という疑問を整理できます。一般的な案内用図記号としての地震マークを探しているのか、避難標識に表示される地震の災害種別記号を探しているのかによって、答えが変わるのです。
【なぜないと言われる?】地震ピクトグラムの歴史と標準化の経緯
地震のマークが見つかりにくい背景には、災害標識の標準化が段階的に進められてきた事情があります。
JIS Z 8210は、駅や公共施設などで使われる案内用図記号の規格です。文字や言語に頼らず情報を伝えられるようにすることが目的で、避難場所や津波避難場所などの記号も含まれています。しかし、すべての自然災害について、同じ用途の記号が一律に用意されているわけではありません。
2016年3月22日には、災害の種類に応じて避難場所までの誘導情報を統一するため、JIS Z 9098が制定されました。内閣府の防災担当資料では、それ以前から使われていた避難場所、避難所、津波避難場所、津波避難ビルなどの図記号を活用しながら、どの災害に対応する避難先なのかを明確にする取り組みが説明されています。
地震については、揺れそのものだけでなく、地震に伴って発生する津波、火災、土砂災害など、場所によって異なる危険への対応が必要です。そのため、従来の災害種別図記号の整理では、地震によって起こり得る災害への対応を中心に考えられてきました。2018年3月時点の内閣府資料にも、地震については津波や大規模な火事など、起こり得る災害への対応でカバーする考え方が示されています。
しかし、こうした整理では、避難場所が地震災害に適しているかを直接示す記号が十分ではありませんでした。そこで2026年の改正では、国際規格との整合性や日本の自然災害の特性を踏まえ、地震と火山噴火の災害種別補助図記号が追加されました。
ここで注意したいのが、地震の災害種別補助図記号が追加されたことと、地震の危険区域を示す注意図記号が定められたことは別だという点です。経済産業省の改正資料では、地震の危険がある地域を特定することは困難であるため、地震の注意図記号は規定していないと説明されています。
つまり、2026年の改正によって地震関連の標識は一歩進みましたが、あらゆる場所で共通して使う単独の「地震注意マーク」が新設されたわけではありません。
【マークを比較】地震・津波・避難場所・避難所の違い
災害標識を見分けるには、図柄だけでなく、何を知らせるための記号なのかを確認することが大切です。代表的なマークの役割を整理します。
| マーク・表示の種類 | 主な意味 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 地震の災害種別補助図記号 | 避難場所が地震災害に適しているかを示す | JIS Z 9098:2026で追加。避難場所の適否を伝えるための記号 |
| 地震の注意図記号 | 地震の危険がある区域への注意喚起 | JIS Z 9098:2026では規定されていない |
| 津波注意標識 | 津波が来襲する危険のある地域を示す | 黄色と黒を基調とした警告表示。津波の危険を知らせる |
| 津波避難場所マーク | 津波から避難するための安全な場所や高台を示す | 緑色を基調とした、波や避難する人などの図柄 |
| 津波避難ビルマーク | 津波から避難するための建物を示す | 波と建物などを組み合わせた図柄 |
| 避難場所マーク | 災害時に危険から逃れるための場所を示す | 避難先の表示と、対応する災害種別を併せて確認する |
| 避難所マーク | 被災者が一定期間滞在するための施設を示す | 避難場所とは役割が異なる。施設名や利用条件も確認する |
| 気象庁の震度表示 | ある場所で観測された地震の揺れの強さを示す | 震度の数字や分布図を確認する。避難先を示す標識ではない |
この比較で特に重要なのは、危険を知らせる標識と、安全な避難先を示す標識を混同しないことです。津波注意標識は危険区域を知らせるものですが、津波避難場所マークは避難先を示します。同じ津波に関連する記号でも、役割は正反対です。
また、地震の災害種別補助図記号は、津波注意標識のように危険区域そのものを示すための記号ではありません。避難場所がどの災害に適しているかを判断するための表示です。
なお、図記号の正確な形状、色、組み合わせ方は規格や表示システムによって定められています。個別のマークを自作したり、似た図柄を見ただけで意味を決めつけたりせず、設置されている標識の説明や凡例を確認してください。

【ハザードマップの見方】地震マーク・震源マーク・震度表示はどう違う?
ハザードマップや地震情報の画面に表示されるマークは、避難標識とは別の目的で使われている場合があります。ここでは、地震マークを探すときに混同しやすい3種類の情報を整理します。
1.ハザードマップの地震関連表示
ハザードマップは、災害による被害が想定される区域や、避難に必要な情報などを地図上で確認するためのものです。地震に関する地図では、想定される揺れの強さ、地盤の特徴、液状化、津波、土砂災害など、地図ごとに異なる情報が掲載されます。
そのため、地図上に表示された丸印や星印を、すべて「地震のマーク」と考えるのは適切ではありません。マークの意味は、地図の凡例や作成機関の説明によって確認する必要があります。
例えば、防災科学技術研究所のJ-SHISが公開する想定地震地図では、特定の想定地震について、震源断層や破壊開始点などの情報が表示されます。同研究所の解説では、想定地震のケースによって、図中の青い星印が破壊開始点の位置を示す例が紹介されています。この星印は、その地図上での特定の意味を持つ記号であり、すべての地震地図に共通する万能の地震マークではありません。
2.震源マークと震央の表示
震源は、地震が地下で発生した場所です。一方、震央は震源の真上に当たる地表の位置を指します。地震情報の地図では、震源や震央を示す点、記号、ラベルなどが使われますが、表示方法は提供元や地図の種類によって異なります。
震源付近を示すマークを見たときは、その記号が何を表しているのかを凡例で確認しましょう。震源の位置は地震の発生場所を理解する情報であり、その地点が避難場所であることや、現在いる場所の安全性を直接示すものではありません。
3.気象庁の震度マーク・震度表示
気象庁が発表する震度は、地震によるある地点での揺れの強さを表す情報です。気象庁によると、全国約4,400地点の震度計で観測した値を基に情報を発表しています。日本の震度階級は、震度0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10階級です。
ここで覚えておきたいのは、震度とマグニチュードの違いです。震度は特定の場所で感じる揺れの強さを表すのに対し、マグニチュードは地震そのものの規模を表します。マグニチュードが大きくても、震源から遠い場所では震度が小さい場合があります。
気象庁の地震情報では、震度の数字、観測地域、震源の位置、マグニチュードなどが組み合わせて表示されます。これらは地震の状況を把握するための情報であり、避難場所や避難所を示すピクトグラムとは区別して読み取る必要があります。
【避難場所マークの意味】避難所との違いと津波避難標識の正しい読み方
地震のマークを調べる人が、実際の避難で特に注意したいのが「避難場所」と「避難所」の違いです。名前が似ているため同じ施設だと思われがちですが、制度上の役割は異なります。
指定緊急避難場所は、津波や洪水、大規模な火災、地震などの危険から命を守るため、緊急に避難する場所です。これに対して、指定避難所は、災害によって自宅で生活することが難しくなった人などが、一定期間滞在するための施設です。
同じ公園や学校が、災害の種類や施設の条件に応じて複数の役割を持つ場合もあります。しかし、すべての避難場所がすべての災害に適しているわけではありません。避難先を選ぶときは、施設名だけでなく、対応する災害種別や利用条件も確認することが重要です。
津波に関する標識では、次の3つを区別してください。
津波注意標識:津波が来襲する危険のある地域を示します。黄色と黒を基調とする警告表示が使われます。危険を知らせる標識であり、避難先を示すものではありません。
津波避難場所マーク:津波から逃れるための安全な場所や高台を示します。波や避難する人などを組み合わせた緑色の図柄が特徴です。
津波避難ビルマーク:津波からの避難に使う建物を示します。高台への移動が難しい場合などに避難先となる建物を案内しますが、すべての建物が津波避難ビルとして指定されているわけではありません。
また、避難先のマークがあっても、その施設が現在の状況で安全とは限りません。津波警報や自治体からの避難情報が発表された場合は、最新の指示を優先してください。海岸付近で強い揺れや長い揺れを感じた場合は、標識を探すことに時間をかけず、直ちに高台など安全な場所へ避難することが基本です。

【2026年最新】JIS Z 9098改正で何が変わった?今後の標識の見方
2026年3月23日のJIS Z 9098改正は、地震のマークを理解するうえで重要な節目です。経済産業省の発表によると、今回の改正では2022年に日本主導で開発された対応国際規格ISO 22578との整合性を確保しながら、日本特有の自然災害事情も踏まえ、用語や定義の見直し、新しい図記号の追加などが行われました。
従来の規格では、洪水、内水氾濫、高潮、土石流、崖崩れ・地滑り、大規模な火事など、災害別の付属書に分けて標識システムの構成や表示例を示していました。2026年版では、災害に共通する標識システムの構成を一元化し、注意標識、避難情報標識、避難誘導標識、避難場所標識という枠組みで整理しています。
さらに、地震と火山噴火については、避難場所がその災害に適しているかを示す災害種別補助図記号を追加。洪水・内水氾濫と火山噴火については、危険が発生するおそれのある地域などに設置する注意標識の図記号も追加されました。
一方で、前述のとおり、地震の危険区域を特定することは困難であるため、地震の注意図記号は規定されていません。地震に関する記号が追加されたからといって、地震が起こる場所と起こらない場所をマークで単純に区別できるようになったわけではないのです。
この改正は、標識を単に見やすくするだけでなく、災害の種類に合った避難先を選びやすくするためのものです。訪日外国人を含む多様な人が、言葉だけに頼らず避難情報を理解できるようにする狙いもあります。
【プロの結論】 地震のマークを見分ける際は、次の3点を判断基準にしてください。
第一に、何を示す記号なのかを確認すること。 地震の発生場所、揺れの強さ、危険区域、避難場所の適否は、それぞれ異なる情報です。見た目が似ていても意味は同じではありません。
第二に、どの規格や地図の凡例に基づく表示なのかを確認すること。 一般的な案内用図記号のJIS Z 8210と、災害別の避難誘導標識システムであるJIS Z 9098は、用途が異なります。特に2026年版の地震関連記号は、避難場所の適否を伝える仕組みの中で理解する必要があります。
第三に、マークだけで避難先を決めないこと。 災害種別、施設の指定状況、避難経路、自治体の最新情報を合わせて確認してください。標識の意味を知ることは重要ですが、実際の避難では、その場所が現在の危険から逃れられる場所かどうかを判断することが最優先です。
【地震のマーク】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:地震そのものを表す標準マークはありますか?
A1:2026年3月23日に改正されたJIS Z 9098では、避難場所が地震災害に適しているかを示す災害種別補助図記号が追加されました。ただし、これは避難標識システムの中で使う記号です。一般的な案内用図記号や、地震の危険区域を示す注意標識と同じものではありません。
Q2:地震のマークがないと言われるのはなぜですか?
A2:従来の災害種別図記号では、地震によって発生する津波や火災などへの対応を中心に整理されてきたためです。2026年の改正で地震の災害種別補助図記号は追加されましたが、地震の危険区域を特定することは困難なため、同規格では地震の注意図記号は規定されていません。
Q3:避難場所マークと避難所マークは同じ意味ですか?
A3:異なります。指定緊急避難場所は、災害の危険から命を守るために緊急避難する場所です。指定避難所は、災害によって自宅で生活できなくなった人などが一定期間滞在する施設です。同じ施設が両方に指定される場合もありますが、利用できる災害の種類や条件は自治体の案内で確認してください。
まとめ:地震のマークは意味と用途を見極めて正しく使う
地震のマークを理解するうえで大切なのは、すべての記号をひとまとめにせず、それぞれが伝える情報を区別することです。地震の発生場所を示す記号、震度を示す数字、津波の危険区域を示す標識、安全な避難先を示すピクトグラムは、それぞれ役割が異なります。
2026年3月23日のJIS Z 9098改正では、地震の災害種別補助図記号が追加され、災害に応じた避難誘導標識の標準化が進みました。一方、地震の危険区域を示す注意図記号は規定されていません。この違いが、「地震マークはあるのか、ないのか」という疑問を解くポイントです。
日頃から自宅や職場のハザードマップを確認し、避難場所と避難所の違い、津波に関する標識の意味、指定された避難先の対応災害を把握しておきましょう。災害時には、マークの意味を知っていることが、正しい避難行動を選ぶための大きな助けになります。 (出典: 地震のマーク(Yahoo!ニュース))